「夕焼け小焼けの赤とんぼ」で始まる童謡『赤とんぼ』ですが、
よく流れているのは「夕方の自治体の防災無線」かと思います。
そんな『赤とんぼ』を歌って!と主人に振ってみたら、
夕焼け小焼けで始まらない、もう一つの『赤とんぼ』を歌いだしました。
「秋の水すみきった」から始まる『赤とんぼ』です。
これを知っている人はどのくらいいるのでしょうか?
主人は「夕焼け小焼け」で始まる童謡を知らない、
私は主人が歌っている『赤とんぼ』を知らないという、
家庭内での地域差、年の差に驚く半面、
歌詞など詳しく調べてみようと思いました。
些細なきっかけですが、徹底的に解説します。
童謡赤とんぼの歌詞の意味とは?知ると流れる涙と夕焼けの情景
今回は両方の歌詞を調べました。
まずはほとんどの方が知っている「夕焼け小焼けの赤とんぼ」のほうです。
「夕やけ小やけの 赤とんぼ
負われてみたのは いつの日か
山の畑の くわの実を
小篭に摘んだわ まぼろしか
十五で姐やは 嫁に行き
お里のたよりも 絶えはてた
夕やけ小やけの 赤とんぼ
とまっているよ 竿の先」
ですね。
『赤とんぼ』の歌詞は、
作詞の三木露風の故郷である現在の兵庫県たつの市で過ごした
幼少時代の情景を歌ったものです。
三木露風は5歳の時に両親が離婚し、
母親とは生き別れました。
祖父の元で子守奉公の女中さんに面倒を見てもらっていました。
「追われて」ではなく「負われて」、
つまりおんぶされて見たということになります
この女中さんが「姐や」、やがて嫁に行ったので、
姐やからの手紙も来なくなったとの歌詞になるのです。
またもう一つの意味として、
お母さんは実家に帰ったのですが、
実のお母さんが、実家近くの娘を子守奉公に出すように図ったことで、
彼は姐やからお母さんのたよりを聞くことが出来ていたのが、
姐やが嫁に行ってしまったため、
お母さんの消息も聞くことが出来なくなったとの意味もあります。
そして、最後の歌詞はあれから幾年月を経て見る現風景です。
時を超えた歌詞の内容となっているのですね。
『赤とんぼ』の作詞・作曲家は?叙情的に歌った心揺さぶる切なさの真意
この童謡『赤とんぼ』は作詞は三木露風、作曲は山田耕筰です。
三木露風(みき ろふう)は、
1889年(明治22年)から1964年(昭和39年)まで生きた
日本の詩人、童謡作家、家人、随筆家です。
国木田独歩の曾祖母が、三木家の出身であることもあり、
その縁で『独歩詩集』も刊行しました。
近代日本を代表する詩人・作詞家として、
北原白秋と並んで「白露時代」を築きました。
童謡はこの『赤とんぼ』以外に、
『秋の夜』『かっこう』『十五夜』『野薔薇』があり、
作曲は山田耕筰の作品となっています。
童謡『赤とんぼ』が、なぜこんなに叙情的に心を揺さぶるのかというと、
やはり歌詞に込められた思いが重なり合っているからだと思います。
1.真っ赤な夕焼けと赤とんぼの、美しくそして鮮烈な情景と忘れえぬ情景
2.姐やの背中に感じる体温の温かさ、姐やへのほのかな恋慕の情
3.もう会うことが出来ない、母への未練
これが心を揺さぶる切なさの真意だと思われます。
もう一つの童謡『赤とんぼ』とは「唱歌」!出所と歌詞を紹介
それでは気になるもう一つの『赤とんぼ』の歌詞についてです。
こちらは昭和7年の尋常小学校で歌われた文部省唱歌で、
作詞作曲不明のものです。
1 秋の水 澄みきった
流れの上を 赤とんぼ
何百 何千 揃って上へ ただ上へ
上って行くよ 上って行くよ
2 秋の空 金色の
夕日に浮かぶ 赤とんぼ
何百 何千 並んで西へ ただ西へ
流れていくよ 流れていくよ
全く違う歌詞ですよね。
これを歌われてしまったため、
「音痴」とツッコミを入れることも出来ませんでした。
知らないから、音程が合ってるかわからなかったのです。
しかし、この『赤とんぼ』は童謡ではなく「唱歌」です。
学校の音楽の時間に歌う用に用意されたもののようです。
さらに、この歌を歌っていたのは今から50年以上前だそうで、
これを書くと私たち夫婦の年齢差が如実に現れてしまいますが、
仕方のないことですね
こちらの歌も美しい歌なので、
YouTubeなどで探して聞いてみてくださいね。
赤とんぼについて
赤とんぼといいますが、
「赤とんぼ」という名前のとんぼはいません。
赤やオレンジ色など赤みがかったとんぼ全てを「赤とんぼ」といいます。
俗称となりますね。
また、赤とんぼに属するからといって、
必ず赤いわけではありません。
季節や性別で赤が濃くなったり、
赤とんぼと気づかないくらいだったりするそうですよ。
オスのほうが、より赤くなるのは知られています。
これはメスへのアピールだと言われています。
真っ赤なスポーツカーで迎えにやってくるオスのとんぼと考えると、
魅力的に思えないでしょうか?
また、体温調整や縄張り争いにも大事な役割をするそうです。
まとめ
童謡『赤とんぼ』を歌ってもらい、
音痴だ!ってツッコミ入れる予定だったのに、
違う『赤とんぼ』を歌われたことにより、
ふざけることなく少し詳しく調べてみることが出来ました。
ジェネレーションギャップが歌詞を調べるきっかけになるのは、
新たな発見でした。
他にもジェネレーションギャップがないか調べてみようと思います。